土地や建物は、そのまま相続させることもできますが、次のようなケースでは別の方法を検討できます。
・相続人がすでに自宅を所有しており、親の不動産を利用する予定がない場合
・複数の相続人がいて、不動産と預貯金では価値の差が大きく、平等に分けにくい場合
このような場合に有効な遺言の一例が、「不動産を売却して現金で分ける方法」です。
<方法>
遺言書に「不動産を第三者に売却し、その売却代金から必要経費を差し引いた金額を相続人に分ける」と記載する
・差し引く費用の例
不動産仲介手数料
登記手続き費用
売却に伴う税金(譲渡所得税など)
<メリット>
・不動産は物理的に分割が困難 → 売却して現金にすれば正確に按分できる
・固定資産税や修繕費など、不動産維持の負担がなくなる
・相続人全員が同じ基準で受け取れるため、トラブルが減る可能性が高い
<デメリット>
・「住みたい」と思う相続人がいても、売却しなければならなくなる
・実家など思い入れのある財産がなくなることに抵抗がある人もいる
・買い手が見つからないと換金までに時間がかかる
・市場価格が低い時期に売ると不利になる可能性がある
<将来遺言によるトラブルを防ぐための注意点>
・実際に「誰も住む予定がないか」を事前に確認する
・「売却に抵抗がある相続人」がいないかも確認する
こうした確認をしておくと、相続手続きがスムーズに進みやすいです。