通常は一つの土地をそのまま誰かに相続させる内容の遺言書を書くことが多いでしょうが、こんなケースも遺言に残せるのかなといったケースを集めてご紹介いたします。
1 一つの土地の一部を相続させる内容の遺言は残せますか
一つの土地を半分に分けて(ただし、分筆登記はされていない)、右側部分を相続人A、左側部分の相続人Bに相続させるという内容の遺言は残せるでしょうか。遺言を作成する前に分筆登記を完了させることができれば、土地は2つになり、ABにそれぞれ1つずつ相続させる内容の遺言を残すことができれば間違いありません。しかし、分筆登記は測量が必要であり、登記を完了させるためには時間がかかります。急いで遺言を残さなければならない場合には、分筆登記がされていない土地でも遺言を残すことが可能です。その場合、どのように土地を分けるかを明確にしておく必要がありますので、具体的に図面上で分割線を明確にしておくことが必要になります。
2 農地を農業従事者でない者に相続させる遺言は残せますか
相続人に対して農地を相続させる遺言がある場合には、農地の承継に農業委員会の許可は必要ありませんので、相続人が農業従事者でない場合においても、農地を相続させることは可能です。ただし、遺言により相続人ではないものに農地を遺贈させる場合には、農業従事者でない場合には農業員会の許可がおりませんので、そのような遺言を残すことはできませんので注意が必要です。
3 将来所有する予定の土地を相続させる遺言は残せますか
たとえば、近い将来遺言を残すものが相続する予定の土地だったり、売買契約は終わっているが、まだ代金を支払っていないため、所有権が移転していない土地なども、遺言に残すことができます。なぜなら、相続開始時に所有している財産であれば、相続の対象財産になるからです。