自筆証書遺言の作成方法

1 遺言の全文を手書きすること

・パソコンで作成したものは無効です。

・他人が代筆したものは無効です。

・遺言の内容を録音、録画したものは無効です。

・文字を書くことができない者は、自筆証書遺言の作成はできません。

 

2 日付の記載

・遺言者が手書きする必要があります。

・日付がない場合は無効です。

・日付印を押したものは自書ではないため無効です。

・日付は西暦でも元号でもどちらでもかまいません。

・令和6年12月吉日という記載は、日付が特定できないため無効です。

 

3 署名

・遺言者が氏名を自書する必要があります。

・戸籍上の氏名が望ましいですが、通称やペンネームも認められています。

 

4 押印

・原則として遺言者自身が押印する必要があります。

・実印であることは要件にはなっていませんが、争いを避けるためには実印が望ましいでしょう。

 

5 財産目録の添付

・「財産目録」のみ、例外的に自書しなくてもよいことになっています。

・財産目録は、パソコンで作成したり、不動産の全部事項証明書や通帳の写しを付けたりすることもできます。

・財産目録のすべてのページに署名押印が必要です。

・財産目録が用紙の両面に記載されている場合には、両面にそれぞれ署名押印が必要になります。

・財産目録は、遺言の本文とは別の用紙でなければなりません。

 

6 訂正方法

・変更箇所への押印と、「上記一中、三字削除三時加入 〇〇 〇〇」のように変更箇所を指示し、変更した旨を記載し署名をします。

 

自筆証書遺言作成の注意点

1 形式的な注意点

・用紙、筆記用具については特に指定はありませんが、鉛筆のようなすぐに変更できるようなものではなく、ボールペンや万年筆等が望ましいでしょう。

・遺言が複数枚にわたる場合には、特に契印をしなければならないといった決まりはありませんが、差し替え等の変更がなされないように、契印をすることが望ましいでしょう。

・封筒に入れて封印をしなければならないといった決まりはありませんが、内容をみられたくない場合には、封筒に入れて封印をしておくのもよいでしょう。

・夫婦で同一の書面に遺言を書いた場合には無効になります。たとえ夫婦であっても、別々の書面で作成する必要があります。

2 内容に関する注意点

・財産の特定の仕方は、不動産の場合は不動産全部事項証明書(登記簿謄本)記載のとおり、預貯金は通帳記載のとおり等、正確に特定するように気を付けましょう。

・財産にもれがないかよく確認しましょう。

・誰にどの財産を「相続」又は「遺贈」させるのか明確に記載しましょう。

・遺留分を侵害する内容の場合には、後のトラブルの原因にならないか検討しましょう。

・必要に応じて「遺言執行者」を指定するか検討しましょう。

3 保管方法に関する注意点

・自分で保管することができますが、紛失や偽造のリスクがあります。

・法務局に遺言書を預ける「自筆証書遺言書保管制度」があります。

4 遺言書作成後の注意点

・家族構成や財産状況が変わった場合には、遺言書を見直すことが望ましいでしょう。

 

遺言書を確実に実効性のあるものにするためには、自筆証書遺言の作成においても専門家のアドバイスを受けることが望ましいでしょう。札幌の司法書士事務所、清野きわ司法書士事務所は、遺言のご相談を受けておりますので、お気軽にご相談ください。